01第1回路地裏のコックピット 鳥しき
デビューして35年。訪れた飲食店は三千店を越えた。ここでは僕が大好きな「愛のある店」上位五十店を毎週紹介していこうと思う。
記念すべき第一回は「鳥しき」。もう百回以上通っていて、いつもワクワク感を抱いて目黒の路地を下る。
店主の池川さんは、生まれ育った下町の商店街にあった焼き鳥屋に魅せられ、小学三年生の時に将来はこの道に進む!と決意。大学を卒業後、焼き鳥を支持する社会人の生活を経験すべきとサラリーマンになる。休みの日にはあちこち食べ歩き経験を重ねる。二十六歳の時に中目黒の「鳥よし」を訪れて、今までの概念を覆された。フランス仕込みの洗練されたその世界観に憧れて弟子入り。そして34歳で目黒に自分の城を構えて十二年になる。
特徴は「近火の強火」だ。火力の強い備長炭で福島伊達鳥を一㎝の距離で焼く。焦がすわけにはいかないので、終始串を動かし続ける。炭にジュッと落ちた脂が煙となって肉を包んだ最高の瞬間に引き上げて迅速に客前へ。口に含むと、炭の力を感じる。捌きも串刺しも独特で、部位の周辺の脂を切り捨てず上手く纏わらせる。ハツモトや食道はクニュクニュした食感も楽しい。
存在感のある心臓、豊潤な軟骨、レア感が魅力の肝、半熟加減が神業のうずら、軟骨のコリコリ混じりのつくね、筋肉を感じる膝と次に打順を繋ぐ野菜たち。そして着地は親子丼にそぼろ丼。最強の焼き鳥オールスターズだ。またこれが実にワインに合う。お客の半分以上はワインを飲んでいる。
コックピットの焼き台に立ち、すべてを采配するねじり鉢巻き姿の池川さん。後ろに控える若い衆の的確な動き。厨房から時々こぼれる笑顔で登場する癒し系の女将さん。焼ける音、炭を割る音や香りもすべて味のうち。これぞ焼き鳥ワンダーランド。
しかし、この席を手に入れる門戸は狭く、毎月決まった日に電話して翌々月のプレミアムシートをゲットしなければならない。500回かけてようやく繋がる時もあるし、涙を飲む時もある。
池川さんは、焼き鳥を世界に広めたい!と言う。さらに「鳥になりたい!」と明言する。心なしか風貌や動きも鳥に近づいている気がする。翔け!世界へ!
その後「鳥しきICHIMON」としてお弟子さんが海外含めて続々開店。まさに焼き鳥のステータスを上げ続けて快進撃は続く。僕のアルバム「至福の楽園~歌と笑いのワンダーランド」に鳥しきマインドを歌った「焼き鳥バカ一代」を5年越しで収録しました。


















































